鳥羽図鑑

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田山花袋【たやま・かたい】

 「鳥羽にては日和山、これは必ず登り給へ。低き山なれど、その眺望はまことに美しく、東海の松島とまで人々に言ひ噺さるゝ所とて…」。

田山の『南船北馬』の一節。若い収税官吏がこう話すのを聞き、田山自身が鳥羽行きを決意した。

実際に訪れた際には「初めてわが眼に入りたるは、半月形を為したる深碧なる入江にて…」「菅嶋、答志嶋、牛嶋、坂手嶋など、皆浮かぶがごとく、その深碧なる大海に連なりわたりて見ゆるにあらずや」などと、その感想を書き記している。

さらに『新撰名所地誌 巻之二』では、日和山からの眺望や、鳥羽商船を設立した近藤真琴にも触れ「この地出身たる近藤真琴氏の設立に係り、規模必ずしも大ならずとも、私立としては本邦唯一となす…」と、書いている。

日和山からの眺望は今も素晴らしい。田山の視線で眺めてみるのも良い。