鳥羽図鑑

isobue_01

磯笛【いそぶえ】

相差

ヒュー、ヒュッ。海底から浮き上がった海女が息を吐き出す音が、波間から聞こえる。どこか寂しげで、笛にも似たこの音は磯笛と呼ばれる。
 海女が海中に潜る時間は550秒前後。中には1分を超えて潜水できる海女もいる。海中で息を堪え、獲物を採って海上へと出た海女は、身体に負担を掛けないよう、まるで口笛を吹くように、徐々に細く息を吐き出す。その後、波間に漂いながら息を整えているときも、磯笛が聞こえる。
 ベテラン海女によると、磯笛は誰に教わるでもなく、自然に身に付いたといい、息苦しい時に自然にそうなるという。
 海辺で聞く磯笛は、もの悲しく、別名「磯なげき」とも呼ばれる。厳しい素潜り漁の象徴ともいえる磯笛は、音で伝える海女文化の象徴でもある。