鳥羽図鑑

ishiikari

石いかり【いしいかり】

相差

相差地区を歩くと、民宿や民家の玄関先に置かれた「ドーマン、セーマン」の印が書かれた石に出会う。これは「石いかり」と呼ばれ、「この家には現役の海女がいますよ」という印だ。
 石いかりの本来の役目は、その昔、海女が海中に潜る際に手に持った錘(おもり)。海女の潜水時間は平均すると、凡そ50秒。1秒でも早く海底に着くため、海女はこの重い石いかりを使った。
 石いかりは一部がくり抜かれており、磯綱と呼ばれるロープが結わえられている。船上にいる海女の夫が、そのロープを手繰って石いかりを引き上げ、また潜る際には手にして―という具合に繰り返し使われていた。今では石いかりの代わりに、分銅といわれる鉄製の錘が使われる。
 海女を支えた石いかり。今では海女の道具としては使われなくなったが、現役海女がいちばん多く暮らすまちの海女文化の象徴としてレプリカがこうして家々の前に置かれている。実際の海女の姿は、海女漁のときににしか見ることはできないが、この石を見かければ海女の存在に気づく。
 旅の思い出やお土産にと、「香りの石いかり」という置物にもなっており、海女の家五左屋で購入できる。