五月待つ 花橘の香を嗅げば 昔の人の 袖の香ぞする 古今和歌集 よみ人知らず

和歌のように、ある匂いや香りを嗅いで、過去の記憶が想い出されるということがあります。

 また『記紀』では、田道間守(たじまもり)が垂仁天皇の命により、常世国(とこよのくに)(エデンの園のような楽園)で、永遠に香っているとされる非時香果(ときじくのかぐのこのみ)を持ち帰ったと記されてあります。私たち日本人の祖先は、橘の香りをとおして、ある種の理想郷や楽園を、また魂の故郷としての常世の国や、本来の人間のあるべき姿を思い出し、甦らせようとしていたと考えられます。

 鳥羽市はこの橘が市の木(倭橘)となっておりますことから、これらの製品には、鳥羽市答志島に自生する貴重な橘の果皮が配合されております。匂い袋の色は、かさねの色目の「花橘」を、御にほひ箱の手描きの図柄には橘の実と花を華やかにあしらいました。
 楽園の象徴である「橘」が香る鳥羽を感じていただけたら幸いです。
販売場所 ホテル和光、戸田家、鳥羽シーサイドホテル、鳥羽国際ホテル(潮路亭)、扇芳閣、鳥羽ビューホテル、鳥羽一番街、手づくり工房きらり、サン浦島、鳥羽展望台
販売価格 匂い袋 大 1,000円 小 800円
製造元 株式会社 松栄堂 http://www.shoyeido.co.jp/
販売元・問合せ 鳥羽商工会議所 鳥羽市大明東町1−7 0599-25-2751

たわわになった実の様子
やまとたちばなは、沖縄のシークァーサーと並ぶ日本原産のミカン科の植物で、毎年5月頃に白い可憐な花を咲かせます。そして12月頃から酸味の強い、黄金色の小さな果実( 直径約3〜4センチ) をつけ始めます。答志島桃取地区にしか自生していないといわれ、三重県の天然記念物に指定された古木があります。鳥羽市においては昭和44年11月1日に市の木として制定されました。

 また、古来より大和の国日本において大切にされてきた聖木で、『日本書紀』や『古事記』、『万葉集』では、「非時香果(ときじくのかぐのこのみ)」つまり、永遠に香っている果実と表現されています。
 やまとたちばなの香りは、みずみずしさの中にも蜜柑や柚子、レモンなどの他の柑橘系にない、独特の奥ゆかしさがあります。また橘という木のもつ歴史なのか、風格・品格すら感じさせてくれます。香りとしてはおとなしいめですが、その複雑さ、どこか人を引きつける艶っぽさがこの香りの魅力です。なにより、貴重な答志島のやまとたちばなの果皮を新鮮な状態で採取し、細かく加工したものを、この製品に織り交ぜているということがこの香りの、世の中に二つとない、一期一会を感じます。
 京都で300年の古い歴史を持つ香の老舗、松栄堂様にご協力いただけましたことから、これにより今後も製品を増やしていく予定です

開花時の様子