山本周五郎 『扇野』
「(前略)秋の波音を聞いた日から、五日ばかり経った或る風の吹く日 の午後、 栄三郎はおつるに誘われて、また樋の山へ登った。 それはおつ るの望みであった。栄三郎は昼の時間が惜しかった。 絵はもう完成に近 く、あの(落ちている)扇子に着色すればいいところまでいっていた。」